沙湾は宋代に創建され、800年以上の歴史がある嶺南文化の観光地(国家4A級)です。
中国歴史文化名村、中国民間芸術の郷、 広東音楽の郷などの称号があります。
写真では解りづらいかもしれませんが「石階石巷(石段と石の路地)」の村がとても美しいです。宗祠や古屋にみられる精巧な木や石の彫刻が素敵な文化と美食の村です。

【Check-Point】
場所は広州市番禺区のですが、広州側も佛山側も地下鉄路線ではないでのバスのアクセスになります。
広州市市橋から 67線、7線
鉄道順徳駅から K314線
(鉄道順徳駅は678文化街の投稿と同じです)
何氏(一族)の集落

南門(正門)手前には文化ホールがあり、長距離バスの停留所にもなっています。
社会科見学で来られる学生さん方も多いようです。

【民族衣装】
若い方は嶺南の民族衣装をレンタルして村を背景に撮影するのが人気のようです。写真は衣装を提供するお店の店員さん。(以下はその場の会話)
自分:写真撮影させてもらってもいいですか?
店員さん:もちろんです~!1枚10元です~♡
自分:あ~っ
店員さん:冗談ですよ~はははっ!
といった、明るい村です。



メインの通りの両脇には地元の名産を販売するお店が並んでいます。

【万事如意と往事如意の違い】
最初の文字wanが後者ではwangになっただけですが、往事如意は過去の自身を受け入れて、この先の未来への夢や希望を願う意味があるそうです。
沙湾民俗文化博覧館

嶺南文化の象徴ともいえる展示品が保存されています。
調理用具(お餅の型)を見て、「あっ、魚団子と同じ大きさだ~」と変ところに共感してしまいました。


村の様子
村の至るところに民族衣装のレンタル店があります。



【镇南祠】
広い意味での嶺南文化を体感できる人気の館です。庭園や彫刻は温かみさえ感じさせます。





主要の遊歩道はとても狭いですが、それ以外の路地は更に狭いです。
(先の方に塔がみえました)

【文峯塔】
何氏一族の祖先祠堂である留耕堂の付属建築として建てられ、風水塔としての役割も果たしています。その精巧な造りと歴史的価値から、「嶺南古建築総合芸術の宮殿」とも言われています。

学問や文化運を象徴する建築物で塔の名前にある「文」「峯」は、学問の運勢や文化が高くそびえる様子を表すとのこと。
塔の周りに結ばれた多くの赤い帯は、ここを訪れた受験生さんの願いなのだと思います。
留耕堂

細い路地を抜けると壮大な景色が広がりました。
文峯塔で触れた”留耕堂”です

科挙試験で挙人や進士に合格した者が建立できる旗杆挟石が多くあります。

留耕堂は、国家級文化財保護単位であり、総敷地面積3334㎡あります。何氏一族の始祖祠堂で、南中国で最も保存状態が良く、現存する最古かつ最大規模の宗祠です。1275年南宋代に創建され、その後、元、明、清の各時代を通じて拡張や修繕が行われました。祠堂には木彫、石彫、灰塑の建築芸術が保存されており、その緻密な配置と精巧な造作が特徴です。
この祠堂は、考古学の観点から「嶺南古建築の総合芸術の宮殿」と称賛されています。堂内の掛け軸には”陰徳は遠く宗祖の種に始まり、心田は子孫の耕作に留まる”と記されており、財産や家業を代々継承する意味があります。






西側グルメ地区

西側地区は池を中心にグルメ街になっています。池の先には巨大な壁が見えます。

大型レンガ彫刻の壁
でかっ!
103万円の壁では無いです
このレンガ彫刻は、全長27メートル、高さ7メートル、厚さ0.9メートルに及びます。この彫刻の制作は、「大国工匠」と称される何世良氏とその弟子たちによって、3年間かけて完成されました。
作品は、影壁の両面には、沙湾が獲得してきた「中国歴史文化名鎮」「中国民間文化芸術の郷」といった国家的な栄誉がテーマとされています。

非常に精巧に掘られています。


周囲のグルメ店:
写真左:石臼でごまや豆などをひいていました。いい香りがしていました。
写真右:嶺南伝統の軽食を提供するお店。(なんでいつもプラスチックの椅子なんだろう?それも文化?)

【婚礼の館】?
ひときわ鮮やかな館がありました。
どうやら結婚式を行うところのようです。


【囍の由来】(日本では重なるイメージはタブーでしたね~興味深いです。)
中国で婚礼に使用される「囍」という文字は、宋代政治家の王安石に由来します。
若き日の王安石が「科挙」試験を受けるため都へ向う途中、ある村で対句の問題が掲げられていて、これを完成させたら”村の名士の娘と結婚させる”という条件付きでした。
上の句(お題):「红杏枝头春意闹」(紅杏の枝に春意騒ぐ)
王安石はすぐに下の句を完成させました。
下の句(王安石の回答):「绿杨影里夕阳斜」(緑の柳の影に夕陽斜めなり)
この句に感銘を受けた名士は、王安石に娘を嫁がせることを約束。その後王安石は科挙試験にも合格。結婚と科挙合格の2つの喜びが重なり、村へ戻る道中に彼は「囍」という文字を創作したと言われています。(Baidu抜粋)

【何炳林院士記念館】
「中国のイオン交換樹脂の父」と称される何炳林院士を記念する館です。館内には氏の功績が展示されています。

イオン交換樹脂は原子爆弾に使用される濃縮ウランの精製技術において重要な役割を果たしたそうです。

【何世良芸術館】
何世良氏は建築装飾としての彫刻を、独立した鑑賞作品へと昇華させ、その功績により国家や省、単位の数々の栄誉を受けました。

この展示館では、何世良氏の一部の芸術作品が公開されています。
奥行き感が素晴らしいです!
音楽発祥の地

【沙湾広東音楽館】
沙湾は広東音楽の発祥地であり、歴史的に広東音楽の先駆者である何博衆や、国内外で著名な「何氏三傑」(何柳堂、何与年、何少霞)を輩出しました。彼らは、《雨打芭蕉》や《賽龍奪錦》といった名曲を創作し、広東音楽の発展に貢献。
どんな曲なのか知らないですけどね(笑)


写真左:6体の彩色楽女陶俑群は、お墓から出土された貴重な文化財です。女士はそれぞれ伝統楽器を手にしています。楽の音を通じて内に秘めた思いを語りあったと言われる、明代の上流階級の女性たちの音楽的な生活を反映しているそうです。


写真左:演奏の舞台も館内にあります。
写真右:広東の華人たちが海外にも音楽を広げた功績が記載されています。

【三稔庁】
広州市の市級文化財保護単位。広東音楽の先駆者である何博衆や「何氏三傑」(何柳堂、何少霞、何与年)らがここで数多くの広東音楽の名曲を創作しました。これらの楽曲は、華人クラシック音楽として高く評価されています。

館内に何博衆が自ら植えた百年三稔樹があります。この木にちなんで「三稔庁」と名付けられました。その果実には酸味があり、広東語で「酸」は「孫」と同音であることから、多くの子孫の繁栄と幸福長寿を象徴しています。
そろそろ帰宅します

【清水井】
この井戸は公共の井戸で、清朝代1796~1820年)頃に建設されました。井戸は沙湾の塩水と淡水の交わる場所に位置しています。


折角来たので、たまには現地グルメを味わってみようと思います。
写真左:魚団子~広東省では定番です。イワシのかまぼこのような。。。店員さんに値段を尋ねると20個入の1パック40元とのこと。1個で十分と伝えると、「では2元ですね」と小出しを了承してくれました。
写真右:山薬茯苓酥(さんやくぶくりょうす)~伝統的な中薬材と現代の製菓技術を融合させたお菓子。主な成分は名前そのままで山薬(ヤマイモ)と茯苓(ブクリョウ)。
ごちそうさまでした~
訪問したのは2024年末でしたが、年明けは更に賑やかだと思います。明るい街並みが印象深いですが、芸術や学問の大切さを思い知らされたような気がします。あぁ~若い頃にもっと勉強しておけばよかった~。 失礼しました~
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