前回投稿の”暁港公園”周辺のWebマップを眺めていて、その近くに「純陽観」という広州市で最大の道教寺院(道観)があることを知りました。お恥ずかしい話ですが、無為自然を思想とした道教の考えを仏教・儒教との比較において、明確には理解していなかったので学習の意味で訪問してみました。 行ってみましょう~

【Check-point】
地下鉄広州11号線:五鳳駅(五凤)~徒歩5分

【五鳳駅】
広州地下鉄では新しい路線である11号線(環状)は清潔感たっぷりで、いつ乗車しても気分が良いです。
純陽観(纯阳观)

【純陽観】
五鳳駅を出て北に向かうと”山門”と呼ばれる巨大な牌坊が出現します。
1824年に清代の道士:李明徹が唐代の道士:呂洞賓(純陽祖師:伝説の八仙人の一人)を祀るために建立されたのが名前の由来です。

「山門」と呼ばれる理由が直ぐに解りました。
周囲は殆ど起伏がない平地であるのに、この場所だけ小高い丘陵になっています。
”漱珠崗”と呼ばれる広州独特の火山で隆起した地形が利用されているとのこと。

階段の脇には海蝕岩が露出しています。複雑な地形です。
【霊官殿】
霊官は道教における護法の神。3つの目で天下を見張り、天気を操る力を持ち、邪を払い病を治すとされています。


【李明彻】(り・めいてつ)
広州市の出身の清朝の道士で、天文学者でもありました。私財を投じてこの丘陵を購入し、純陽観を建立。まず朝斗台を築き、天体観測を行いました。(説明書き引用)
おっ、まさか、天文台もあるの?

【道徳経】
老子が書いたとされる道教の経典の一部。第一章から始まり、ものすごい量の文章が曲面の壁に彫られています。
これを読まねば理解できないのですね~うぅ~
【慈航殿】
道教の神仙:慈航真人、関聖帝君、財神赵公明元帥を祀っています。平安と富を祈る聖地とされています。(説明書き引用)


【文昌殿】
文運や試験を司る神:文昌帝君
海上の守護神:媽祖
古代の名医:薬王孫思邈真人が、祀られています。(説明書き引用)
学業成就や健康長寿を祈念する訳ですね。
(慈航殿と東西で向かい合あっています)

【祈願札】
「慈航普度」とは「慈悲の船で衆生を悟りへ導く」ことで、「彼岸へ渡る」考え。お墓参りの”お彼岸”はこれなんですね。
「祈願札は神々との架け橋となり、あなたの願いを天へと届けます。どうか、あなたの願いが神々のご加護によって早く叶いますように。
1枚 200元 / 1年間」 と、書かれています。
JP\約4k円、高っ!って思っちゃダメですね。

【漱石】(おっ、夏目漱石か?)
石像の後ろの岩に”漱石”と彫られています。
漱石枕流という成語の由来:孫楚の言葉「石で口をすすぎ、流れで枕をする」に、「石を枕、流れで漱ぐ」が自然だと異論を指摘され、孫楚はそれに反論し、「流れを枕とするのは清らかな心を持つため、石で口をすすぐのは硬い決意を表す」と説明。このことから、「負けず嫌い」を意味する成語として使われるとの事。(Baidu抜粋)
実は夏目漱石の名前もこの成語が元であるという説があります。ほんとうかなぁ~?笑

【純陽殿】(本殿)
純陽観の中心になります。前述の純陽祖師・呂洞賓が祀られています。

斜面に沿って月台が築かれ、精巧な彫刻がされています。

【鸡蛋木】
直訳すると「タマゴの木」ということになります。夏場は葉も生茂り、花は白い花びらの根元が黄色い(ゆで卵の断面の様な)かわいい花が咲きます。冬から春は葉も落ちて鹿の角のような神秘的な姿に変わります。
【朝斗台】
丘陵の最も高い場所に位置しています。李明徹によって建設された華南地域で唯一現存する清代の道教天文観測台。
おぉ~!やはり天文台あった~!


天文台を下から見ると、漱珠崗の一番高い位置に建てられていることが良く解ります。
【悟真軒】
主に太極拳道場として使用されています。悟真軒にはさまざまな流派の武術の達人たちが集まり練習をしているそうです。


【二十四孝の壁画】
24の逸話が全て紹介されています。
道教ではなく儒教の範囲だと思いますが。。。

【元辰殿】(太歳殿)
北斗七星の母:斗姥元君と、命運や幸不幸を司る神:太歳星君を祀っています。

元辰殿の横には十二支の顔の石像が順番に並んでいました。

【李明彻のお墓】
本殿の裏側に位置し、背中合わせの向きにでお墓があります。

【梅社書画院】
悟真軒の隣にある書画院。
梅社は1928年に設立され、嶺南画派の重要な発祥地の一つとされています。

梅社の設立は、嶺南画派の先人である”居廉”や”居巢”がこの地で行った芸術交流活動に由来し、その後、高剣父、高奇峰、陳樹人などの文人墨客が集まり、当時の嶺南地域で非常に影響力のある文化団体となりました。(Baidu引用)
【華光亭】
珍しい形をした亭があります。
石造りの建築で、道教における火の神「華光大帝」を祀るために建てら道教信仰と民俗文化の融合を特徴としているそうです。
武術家の皆さんが練習をしています。


本投稿の冒頭に掲載した写真ですが、足が高く上がっていますね~! ちょっと痛そう~

【放生池】
池の中には、善男善女によって放生された魚や亀がいます。
池の中央には石壇があり、その上には石彫の地動儀や古代の天文地理図が刻まれており、「天地一体、天人合一」を象徴しているそうです。

地動儀や天文地理図は、古代の人々が天地自然に抱いていた畏敬の念や、宇宙の秩序に対する理解を反映しているとの事。
道教のポイントのように思います。

池の東側の門から引き上げます。
この季節はいろいろな場所で美しい木綿を観ることができます。
中国の街中を散歩していると多くの廟や寺院を訪れることで、”仏教(悟り~解脱)、儒教(道徳~孝行)、道教(無為自然)”の文化に接する機会が多くあります。それらと自分自身の思考や行動を照らし合わせて考えさせられることが多いです。反省ばかりです~いや、たまに重なる事もありますよ~笑 失礼しました~
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